他サイトでは、Arduino IDEをインストールしてVSCodeにArduinoの開発環境を構築する方法が散見されますが、2024年5月現在、拡張機能の提供元(Microsoft社)は『Arduino IDE Ver.2以上は非サポートで、今後サポートする予定もない。使うならArduino CLIをご使用ください。』とのことですので、本記事ではArduino CLIをインストールする方法で説明します。
なお、現状Arduinoの拡張機能にはArduino CLIも一緒にバンドルされているので、改めてArduino CLIのインストールはしなくてもよいのですが、一応最新版にしておく手順を以下では説明します。
Arduinoについて
- Arduinoってなに?
- 『AVRマイコンを搭載したオープンソースハードウェアのマイコンボード』とネット上で説明がありますが、それだけじゃ正直よくわかりませんよね。
要は『一般的なマイコンボードよりも比較的簡単にプログラミングができ、しかもそれぞれ違うボードであってもほぼ同じプログラムで動作させることができるマイコンボード』です。
Arduinoには専用の統合開発環境(IDE)が用意されており、コーディング・ビルド・ボードへのプログラム転送をこれ一つで完結できることも魅力の一つです。
- Arduinoでなにができるの?
- およそ電子工作でやりたいこと(つくりたいもの)は何でもできます。
例えば、測定器だったり、制御コントローラだったり、オリジナル目覚まし時計だったり・・・。
つまり、あなたのアイデア次第で可能性は無限大ということです。
- 無料で使えるの?
- Arduino自体は購入する必要がありますが、それ以外(開発環境など)は無料で使うことができます。
なお、2024年5月現在、代表的なものとして以下がラインナップされていますが、それぞれをちょっと高機能にした亜種のようなもの(いわゆる互換機)も販売されています。
- 仕事で使えるの?
- Arduinoに関連するソフトウェア、ハードウェアはともにオープンソースですが、自社の製品に組み込んでリリースするような場合にはいくつかのライセンス上の制約が発生するようです。
Visual Studio Code(VSCode)について
- Visual Studio Codeってなに?
- Visual Studio Code(以下「VSCode」とする)は、Microsoft社が提供する『高機能なコードエディタ』です。
ただ、このエディタは凄まじい機能拡張性を持っているので、統合開発環境と言えるほどにカスタマイズできてしまいます。
しかし、逆に言うと自分で必要に応じてカスタマイズしないといけないため、初心者には少しハードルが高いかもしれません。
- Visual Studioと何が違うの?
- Visual Studioは統合開発環境なので、コンパイラやデバッガなど最初から全部入りの状態と言えます。
しかし、それゆえに開発できる言語が限られるなど拡張性の面はVSCodeの方に軍配が上がります。
- 無料で使えるの?
- オープンソースのソフトウェアであるため無料で使うことができます。
ただし、一部のアドオンなどは有料販売されているものもあります。
- 仕事で使えるの?
- 商用利用可なので仕事で使うことができます。
Visual Studio Codeのインストール
次にVSCodeをインストールしていきましょう。まずはVSCodeをダウンロードします。
Visual Studio Codeの拡張機能のインストール
Arduino CLIのインストール
以下のサイトからArduino CLIのインストーラーファイルをダウンロードします。
拡張機能の設定
次に拡張機能の設定を行います。
私は以下のような設定にしていますが、この中で重要なのはハイライトになっている行の項目です。
こちらは漏れなく設定するようにしてください。
なお、”true”は✓をつけることを意味します。
arudino.useArduinoCli | true |
arduino.path | C:\Program Files\Arduino CLI |
arduino.commandPath | arduino-cli.exe |
logLevel | info |
clearOutputOnBuild | false |
enableUSBDetection | true |
disableTestingOpen | false |
skipHeaderProvider | false |
openPDEFiletype | false |
analyzeOnOpen | true |
analyzeOnSettingChange | true |
disableIntelliSenseAutoGen | false |
そして、以下の項目を設定してください。
C_Cpp.intelliSenseEngine | Tag Parser |
最後にVSCodeを再起動してください。
動作テスト
簡単なプログラムを作って動かしてみましょう。
今回はLEDをチカチカさせる(通称Lチカ)プログラムを作成して動作させてみます。
なお、私が購入したArduino Nano everyにはLEDが搭載されてるので、改めて用意する必要はありません。
プログラムは以下のようなLEDをただ光らせるだけのものにしました。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 |
const unsigned int D13 = 13U; void setup() { pinMode( D13, OUTPUT ); digitalWrite( D13, HIGH ); } void loop() { /* 何もしない */ } |
ビルド時に発生する[WARNING]について [2024.6.8 追記]

ビルド時にこのようなWARNINGが出ていましたので、これらの対処について追記しておきます。
[WARNING]Output path is…
もし、このようなWARNINGが表示された場合は、ビルド時に生成される中間生成ファイル(例えばelfファイルやmapファイル)の出力先が指定されていないことを注意されています。
なので、[.vscode]→[arduino.json]を開き、赤線部のような一文を追加してください。
”./”は現在のフォルダ(プロジェクトフォルダ直下)を表すので、『現在のフォルダに”.build”というフォルダを作ってそこに出力する』という指定になります。
なお、出力先やフォルダ名はご自身のお好きにしてもらえれば大丈夫です。
[WARNING]Failed to generate …
このWARNINGは出ていない人の方が多いかもしれませんが、一応書いておきます。
これは『inoファイル名』と『arduino.json中のsketchオプション記載のinoファイル名』が異なると発生する模様です。
私の場合は、inoファイル名が『pachislot_dataget_sample.ino』で、sketchオプションの方が『Pachislot_DataGet_Sample.ino』でした。
インクルードパスが通らない [2024.6.8 追記]

もし、上記のようにインクルードパスが通らない場合は、[.vscode]→[setting.json]を開き、お持ちのArduinoボードのライブラリが置いてあるパスを”C_Cpp.default.browse.path”に追加してください。
私の場合はArduino nano everyなので、megaavrの1.8.8というボードをインストールしましたから、以下のようなパスになっています。


ボードのLEDが光りました!!
ひとまずこれで環境構築は完了です。