SNSやYouTubeで時折見かける「分解アート」。
特にデスクツアーとかを見ると、さり気なく壁にかかっているその様が、オシャレでカッコよくてすぐにでも欲しくなっちゃうアイテムの一つではないでしょうか。
一見難しそうに見える分解アート、実は背景にだけこだわればかなり本格的な分解アートができてしまいます。
本記事を参考に、是非自分だけの分解アートを作ってみませんか?
用意するもの
GAMEBOY COLOR
これがないと始まりません。好きな色を用意してください。
なお、『よりキレイに仕上げたい』だとか『失敗しそうだなぁ』と思われる方は2台分用意したほうがいいかもしれません。
私は某フリマサイトで以下2台のGBCを購入しました。今回標本にされるのは右側の青い方です。
額縁
中にパーツを入れるため、『奥行きのある額縁』を用意します。
どういうデザインにするかにもよりますが、大体35cm×35cm×2.5cm(奥行)以上の大きさの額縁をおすすめします。
ちなみに、私はロゴを大きくするなどの目的で余白がある程度欲しかったのでA3サイズと大きめのものを選びました。
プラ板
一般的なプラ板(プラスチックの板)です。
A3の額縁を購入したので、こちらもA3サイズにしてあります。
接着剤
速乾性のものよりは、ある程度硬化に時間を要する接着剤の方が作業性が上がります。
私は『Gorilla 強力接着剤 XL』を使用しました。
これは硬化までに15〜30分はかかるので、位置・角度の微調整をすることができます。

金欠ぱとろん
接着にホットボンドを使用してもいいと思います。
ホットボンドであれば、接着剤がハミ出たところを簡単に削り取ることができます。
ただし、接着力はどうしても劣るのでそこはトレードオフですね。
ディスプレイカバー
GBCのディスプレイを保護しているカバーが傷だらけだったので、新品のものを購入しました。
価格はだいたい1000円以下です。
(写真撮り忘れました……。)
使用ツール
その他の工具類は以下の通りです。
基本ツール
- 精密ドライバーセット
- はんだ吸い取り線
- ピンセット
- スパッジャー
- フラックス
- 歯ブラシ
- 絵筆(毛先を短くしたもの)
- 除電ブラシ
GAMEBOY COLORを分解する
GAMEBOY COLOR(以下GBC)を分解していきます。
GBCのネジはY字のものになります。
ネジは見えてる4か所のほかに、電池蓋の下2か所の計6か所あります。
中を開けると基板が出てきます。
意外と簡素な構成ですね。
基板とディスプレイを繋ぐフレキシブルケーブルをピンセットを使って外します。
ディスプレイと基板が分離できました。
あと、のり付けされたディスプレイは、ケースを軽く曲げてやると「ペリッ」といってキレイに取れます。
貼り付けられてたシールに除光液を垂らし、スパッジャーで丁寧に剥がします。
私はIPAを使いましたが、これは非推奨です。
IPAはABS樹脂を溶かす作用があります。GBCのケースはABS樹脂ですので、IPAを使うと樹脂表面が白化してしまいます。
今回は頑固な汚れを落とすためにIPAを止むなく使用していますが、最悪の場合変色して取り返しがつかなくなる可能性もありますので、十分ご理解のうえ自己判断でお願いします。
まずは、中性洗剤、プラスチック使用可のパーツクリーナー、除光液などを使用し、それでも改善しない場合の最後の手段とお考えください。
これでひとまず分解は完了です。
部品を洗浄・清掃する
前面ケースのシール跡が目立っているので、IPAをかけてメラミンスポンジで擦ります。
ディスプレイカバーは新品のものに交換するつもりなのでそのままにしていますが、マスキングした方がいいです。
基板以外のパーツを超音波洗浄機に入れ、食器用洗剤を入れて洗浄していきます。
洗浄が終わったので、ディスプレイカバーを交換していきます。
ドライヤーで優しく温め、カッターやデザインナイフなどで端から少しずつ剝がしていきます。
新しいディスプレイカバーを貼って、保護シートをペリペリ剥がすと……。
スピーカーやパワーサプライ基板ははんだ付けされているので、はんだ吸い取り線やはんだ吸い取り機で除去して取り外します。
基板をIPAで清掃していきます。毛先を短く切った絵筆や歯ブラシでゴシゴシするとキレイになっていきます。
仕上がりをよりキレイにしたい方は、カートリッジの挿入部のプラスチック(左図の黒部分)をマスキングしておくことを推奨します。
背面ケースに付くステンレス部品には細かなキズやくすみがありますので、ピカールで研磨していきます。
他の部品(ボタンとか)を撮り忘れちゃいましたが、一通りすべての部品の清掃が完了しました。
部品の外形を型取りする
これ以降は㈱任天堂の商標を使用した2次制作を個人使用の範囲に限定する目的で、一部モザイク処理しています。
部品の外形や寸法がわからないので『型取り』をします。
このときに、それぞれの部品寸法も併記しておくことで後の作業がスムーズになります。
すべての型取りが完了したらスキャンしてPCへ取り込みます。
新調するためGBC背面のシールも一緒にスキャンしています。
取り込んだデータはこんな感じになります。データ形式はなるべく高解像度にしてPDFで取り込むようにします。
そして、PDFファイルを開き、例えばWindowsなら『Snipping Tool』などの切り取りツールを使って部品1つ1つをPNGなどの画像ファイルにしておきます。
背景を作る
いよいよ背景を作っていきます。
市販品を参考にしつつ、少しだけオリジナリティを加え、世界で1つだけの作品にしたいと思います。
なお、作成するにあたり、無料の『INKSCAPE』という描画ソフトを使っています。
まずは、部品を配置していきます。
このときに、部品の寸法を実寸法に合わせます。
INKSCAPEならば『ものさしツール』を使って記載の寸法と同じサイズにします。
なお、ボタンや十字キーの箇所は穴になりますので、同じ位置にボタンや十字キーを印刷したいと思います。
そのため、ケースについては新たに写真を撮ってINKSCAPEに取り込みました。
デザインが完成したら、A3サイズでなるべく実寸大となるよう印刷します。
私はセブンイレブンでコンビニ印刷したのですが、以下の設定でPDFファイルにして印刷しました。
解像度 | 300 dpi(コンビニでのカラー印刷の限界) |
縦サイズ | 420 mm |
横サイズ | 297 mm |
部品を貼り付ける
部品を貼り付けていきます。
私は『Gorilla 強力接着剤 XL』を使いました。
プラ板が動かないようにテープで固定します。
使用するテープはなるべく粘着力の弱いものの方がいいと思います。
私は左図のような『付箋シール』で固定しました。
十字キーは中央部分に出っ張りがあって貼り付けにくいので、ニッパーで出っ張りを切り取って貼り付けます。
メイン基板は平面に置いてもガタガタして安定しないので、左図のような『防振粘着マット』を活用します。
粘着力が強いので、これについては接着剤不要だと思います。
すべての貼り付けが完了しました!!
完成までもう一息です。

金欠ぱとろん
背面ケースのシールを新たに発注するため、シールのデザインを丸コピします。
使用するソフトはINKSCAPEです。
また、今回シールの発注は『シール印刷プロ』さんにお願いしました。
シールサンプルを迅速に、しかも”無料”で送付してくれますし、製作価格も2500円弱と良心的でした。
シール発注後、数日で手元に届きました。
結構小さいフォントサイズだったのですが、キレイに印刷されています。
耳より情報
強力接着剤を使った場合、接着剤が違う場所に付いて硬化してしまい汚くなることがあるかもしれません。
そんなときは、細目(または極細目)のコンパウンドで研磨することでキレイに修正することができます。
Holtsのコンパウンド(極細目)
修正前後比較
完成
最後に額縁に入れて完成です。
最初に予想していた以上にかっこよく作れました。
なお、今回の製作費は合計で20390円でした。
ただ、GBCを2台(中古)購入したり、背面のシールを自作して発注したりしていますので、これを抜けば13000円くらいで製作できそうですね。
意外と簡単にできるので、一度お試しあれ。

金欠ぱとろん
どんなデバイスでも大体同じ手順で作れると思いますよ!